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はじめに

 ようこそ、京都大学iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門 池谷真 研究室のホームページへ。

 当研究室では「幹細胞」と「細胞間相互作用」をキーワードに、ヒトiPS細胞を用いた発生生物学的な研究、再生医療応用を目指した基盤的な研究、希少難病病態再現創薬研究を行っています。

 主任研究者の池谷の専門は発生生物学で、特に、われわれの体のような複雑な三次元の構造物がどのようなメカニズムで形作られるのかということに興味を持って研究を行っています。大学院生の頃から、細胞間相互作用を制御するシグナル分子の研究(特にWntシグナルとBMPシグナル)の研究を行ってきましたが、細胞の分化組織化などの研究に幹細胞の視点を取り入れる必要性を感じ、最も研究が進んでいる幹細胞の一つである多能性幹細胞を用いた研究に携わるようになりました。

 現在は、多能性幹細胞より少し発生ステージの進んだ幹細胞の研究、その幹細胞からこれまで分化誘導が困難と考えられてきた細胞への効率的分化誘導法の開発を行っています。また、開発した幹細胞誘導法には様々な応用が可能ですが、その1つとして希少難病の一つであるFOP(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva;進行性骨化性線維異形成症)の研究を、増殖分化機構研究部門の戸口田研究室との共同研究で行っています。

 

 当研究室の研究に興味を持たれた方は、研究紹介またはCiRA HPも合わせてご覧ください。

幹細胞:Stem Cell

 幹細胞とは、自己複製能と、他の種類の細胞へ分化する能力を持つ特殊な細胞である。われわれの体には、生殖幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、骨格筋幹細胞、がん幹細胞などが存在することが知られている。当研究室で扱う「iPS細胞」は、2006年にマウスで、2007年にヒトで創生された人工多能性幹細胞(induced pluripotentn stem cells)であり、皮膚線維芽細胞などの体細胞にいくつかの遺伝子を導入して作製された、ES細胞(胚性幹細胞、embryonic stem cells)と同様の多分化能と無限増殖能を持つ細胞である。

 

細胞間相互作用:cell-cell interaction

 細胞と細胞が相互に情報をやり取りすることをいう。発生や再生の過程で正しく組織や器官を形成するために必須の機構であり、また神経などが刺激を伝達する際にも細胞間に相互作用が存在する。Notch-deltaに代表されるような接触性の相互作用と、BMPやWNTなどのシグナル伝達物質に代表される接触を必要としない相互作用が存在する。なお、インテグリンなどを代表とする細胞と細胞外基質の相互作用も存在する。

 

発生生物学:Developmental biology

 受精卵または単一の細胞から成体になるまでの分化成長過程を研究する生物学の一分野。胚発生を観察し記載する発生学(embryology)と、分子生物学、遺伝学、細胞生物学が組み合わさり、発生生物学とよばれるようになったと言われている。

 

再生医療:Regenerative medicine

 生きた細胞、あるいはそれを組み込んだ機器等を患者に移植することにより、ケガなどにより失なわれた組織や臓器を再生する医療行為あるいは医療技術のこと。移植した細胞そのものが機能する場合と、細胞が分泌する因子などが内在性の幹細胞を活性化して自己再生能力を促すことにより修復する場合がある。

 

希少難病:rare disease

 難病とは有効な治療法が存在しない、あるいは治療が難しく慢性の経過をたどる疾病のことを指す。これに加え、希少性があるものを希少難病とよぶ。希少性については国によって定義が違っており、日本においては、薬事法に基づいて希少疾病用医薬品等として厚生労働大臣の指定を受ける要件の一つが「国内対象患者数5万人未満」とされている。また、希少疾患に該当する英語のrare diseaseを、日本では希少難病とよぶことが多い。

 

病態再現:phenotype recapitulation

 病態の全てあるいは一部をヒト以外の動物あるいは細胞を使って再現すること。疾患を再現した動物はモデル動物とよばれ、研究を進める上できわめて有用である。最近では実際に疾病を罹患している患者から作製した疾患特異的iPS細胞を使った病態再現もよく行われている。

 

創薬研究:drug discovery research

 創薬とは、薬剤を発見したり設計したりする過程全体を指す用語である。大筋としては、標的の同定、合成、特徴付け、薬効スクリーニング、アッセイの順番で進められ、これらの過程を通じて薬効が認められれば前臨床試験へと進められる。なお、これらの過程を通じて病気が引き起こされるメカニズムを調べ、病気の原因を探り、治療に有効と思われる新薬の種(シーズ)を探索することなどは創薬研究とよばれる。医学、生物学、生物工学、薬学、化学の知識が必要となる複雑な学問であり、1つの新薬を開発するためには10年以上の歳月と莫大な費用がかかる。

 

分化:differentiation

 個体発生の過程において、特殊化していない細胞が、より特定の機能や形態をもつ細胞へと変化していくことをいう。なお、これとは逆に未分化状態へと変化することを脱分化とよぶ。植物のカルスや、両生類の四肢切断後の再生芽などがその例である。

 

組織化:Organization

 生物学における組織化とは、組織を作ることである。特に最近では、多細胞生物の細胞が自律的に組織を作る現象である「自己組織化(self-organization)」によって、複雑な組織や器官構造を作製する技術が注目されている。

 

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 あなた自身が持つ興味や専門性を加え、この絵図を完全なものにして下さい。

 

 

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